以前の記事で、海外FX業者であるTradeviewにて法人口座を開設する方法を説明しました。
法人としてFX取引した場合、どのような会計処理をすればいいのか迷われる方が多いのではないでしょうか。
この記事では、開設後に入金・取引を行った場合に、どのように記帳していけばいいのかについて説明していきます。
Contents
オススメ法人口座
以前に比べ国内FX業者のレバレッジ倍率は徐々に低くなっていく傾向にあります。
そこで、今でも高レバレッジでトレード可能な海外口座の使用を検討してみてはいかがでしょうか?
法人であれば国内FX業者であっても税制優遇は受けることができないため、海外口座でも条件は同じです。
私が愛用しているTradeviewは通貨選択で日本円を選択することもできますので、口座残高が為替変動のリスクに晒されることはありません。
また、日本人サポートデスクが日本語で対応してくれるので、難なく口座開設も可能です。
1万円程度から入金も可能で、口座開設するだけでMT4のツールも使用することができるので、是非試しに解説してみてください。
法人用口座の開設はコチラ:Tradeview 法人口座開設ページ
個人用口座の開設はコチラ:Tradeview 個人口座開設ページ
口座入金時
FX口座を開設し終えたら、次にすべきことは口座への入金です。
例えば百万円をFX口座へ入金した際は、以下のような会計処理となります。
※左側が借方、右側が貸方となります(以下、同様。)。
(外国為替差入証拠金) 1,000,000 (普通預金)1,000,000
「外国為替差入証拠金」の部分は、「預け金」や「差入証拠金」などでも構いません。FX業者へ預けていることが分かる勘定科目を利用しましょう。
なお、出勤時はこの逆の仕訳となります。
例えば30万円を出勤した場合は、以下のような会計処理となります。
(普通預金) 300,000 (外国為替差入証拠金)300,000
取引結果の記帳
次に、取引を行い売買損益が発生した場合に、どのような会計処理をするのかについて説明します。
例えば5万円の利益が出た場合は、以下のような仕訳となります。
(外国為替差入証拠金) 50,000 (外国為替売買益)50,000
逆に3万円の損失となった場合は、以下のような仕訳となります。
(外国為替売買損) 30,000 (外国為替差入証拠金)30,000
上記の例では、売買益と売買損のそれぞれに別の勘定科目を使用しましたが、それも面倒だという方については、「外国為替売買損益」という勘定科目で統一されてもいいかと思われます。
これらの会計処理は取引ごとに記帳してもいいのですが、通常FXの取引は反復的に何度も行うため、取引の度に記帳することは事務的に大変だと思われます。
そのため、私の場合は1ヶ月分の取引をまとめてひとつの仕訳で入力するようにしています。
期末日の処理
期末日にポジションを保有していない場合は、特別な会計処理を行う必要はありません。
他の月と同様に、売買損益についての会計処理を記帳するのみとなります。
一方で期末日にポジションを保有している場合は、含み損益について会計処理をしなければなりません。なぜなら、FXは金融商品として時価評価をしなければならないからです。
具体的には、以下のような会計処理を行います。
①1万円の含み益の場合
(外国為替差入証拠金) 10,000 (為替差益)10,000
②1万円の含み損の場合
(為替差損) 10,000 (外国為替差入証拠金)10,000
また、これらの期末処理においてポジションの時価評価を行った仕訳については、翌期のはじめに反対仕訳を行いましょう。
おまけ〜FX取引は売上と営業外損益どっち?
FX取引の損益について、どのように会計処理するかはお分かりいただけたでしょうか。
最後に、損益計算書上の表示区分について迷われる方がいると思います。具体的には、売上高として表示するのか、それとも営業外損益として表示するのかという問題です。
売上高として表示するケース
FX取引について、定款に記載している場合は売上高として表示しましょう。
定款には事業の目的について記載する欄があります。そこでは、会社が主として行う事業が列挙されます。
定款にFXを主として行う事業として記載している場合は、営業活動と考えられるため、売上高として表示するのが最適だと思われます。
営業外損益として表示するケース
一方で、定款にFX取引についての明示がない場合は、営業外損益として表示することが妥当です。
以下、FX関連本です。
すみません、不躾を承知で質問させて下さい。
弊社は定款に記載がありません。
この場合、(為替差損)は営業外損益で「(消費税の)課税区分」は「不課税」で良いのでしょうか?
ちなみに、個人の場合は雑収入扱いで課税ですよね?
山西様
ご回答が遅くなり、申し訳ございません。
「期末日の処理」についての質問という解釈で回答させていただきます。
まずはじめの質問につきましては、定款に記載がなければ営業外損益という区分で問題ないかと思います。
次に、この場合の消費税の区分については不課税となります。
為替差損益の取り扱いについては、以下の国税庁のホームページでも言及されております。
為替差損益の取扱い-国税庁
最後に個人の場合についてですが、個人の場合はそもそも期末日における為替換算を行いません。
つまり、12月31日時点で保有しているポジションからは為替差損益が発生しない(=所得が発生しない)ため、課税も行われません。
ポジションをクローズ(決済)したタイミングでの所得となります。
また個人での所得税での取り扱いですが、海外のFX口座などを利用している場合であれば、おっしゃる通り雑所得扱いで問題ありません。
一方で、国内のFX業者の場合はその他の所得と区分して課税されることとなります。
詳しくは、以下をご参照ください。
外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
またわからないことがあれば、気兼ねなくご質問ください。
お待ちしております。
すみません。不躾ですが私からも質問させていただきます。
弊社は今期から定款にFX取引を入れています。
定款に記載の場合FXの利益を売り上げに入れるのであれば、反対に損が出た場合は、どのような会計処理になるのでしょうか?
ここん様
コメントありがとうございます。
ご質問に対して、ふたつの方法をご提案させていただきます。
回答に当たっては、2019年版EDINETタクソノミの勘定科目リストを参考にしました。
こちらは、勘定科目の参考例とでも考えてください。
方法1:売上高のマイナス項目として表示する
タクソノミの勘定科目リストでは、「商品先物取引業」業者の営業収入の一例として、「売買損益」という科目が例示されています。
これを踏まえると、売上高(営業収入)として利益だけでなく損失も含めて表示しても問題ないということが伺えます。
方法2:売上原価として表示する
方法1の方法にすると売買損益の損失額が大きい場合、他事業の売上高をマイナスし、実際の会社規模よりも売上高が小さくなってしまうことが考えられます。
やはり、損益計算書のトップラインである売上高はできるだけ大きくしたいと考える方も多いと思われるため、その場合は売上原価として計上すればいいと思います。
例えば、タクソノミ内の「保険業」であれば「経常収益」として「売買目的有価証券運用益」を、「経常費用」として「売買目的有価証券運用損」を例示しています。
業種が保険業でありますし、経常費用がそのまま売上原価と置き換えていいかというと、断言はできませんが、損失を売上原価とすることを否定するモノでもないと思います。
上記のどちらの方法を用いても、売上総利益以下の金額は同じとなります。
顧問税理士の方がいらっしゃれば、一言相談してもいいかもしれません。
また、あくまでFXの売買損益は消費税の不課税取引のため、方法1により売上高が1,000万以下となったとしても、消費税の納税義務が免れるわけではないので、注意してください。
法人口座のFX口座でボーナスの現金付与があった場合の仕訳をご教授いただけますでしょうか?
宜しくお願いします。
MYさん
コメントありがとうございます。
例えば、ボーナスとして1万円の現金付与により、FX口座残高が1万円増えた場合は、以下のように仕訳をしてもらって構わないかと思います。
(外国為替差入証拠金) 10,000 (雑収入)10,000
FXを事業とした法人を設立しましたが、税金の申告時の保有しているポジションも税金の対象となると伺いました。
仮に決算時の確定した利益が500万円で、保有しているポジションの含み損が200万円だとすると、その年度の税務申告は、300万円に対して課税されるのでしょうか?
保有しているポジションが無ければ、利益の500万円に対して税金がかかると理解しています。
それとも別の計算がなされるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
その理解でお間違いございません。
個人の場合、確定した損益のみ課税対象となりますが、法人の場合は確定した損益と決算日時点で保有しているポジションの含み損益の合計額が課税対象となります。